年金収入と預貯金の取り崩し順序について

Q&A

専業主婦であっても公的年金収入は妻固有の財産として認められる、とされています。
しかし、その一部を夫婦共通の生活費に充てる必要がある場合、夫の相続時にその全額が
残るとは限りません。ここで問題になるのが、年金収入とそれまでの預貯金のどちらが先に
(あるいはどのような割合で)生活費に充てられると考えるべきか、という点です。

①まず年金収入を都度生活費に充てたうえで、不足額につき預貯金を取り崩す。
②年金受給前の預貯金の取り崩しを先に行い、その消失後に年金収入の貯蓄額を充てる。

家計管理の観点からすれば、①のほうが恐らく普通の順序のような気がします。
けれども、特に夫婦とも年金生活に入ると、多くの場合年金だけで生活費を賄うことは
困難だと考えられます。そうなると理論上、年金収入の残はほとんど生じなくなります。
はたして夫の相続財産の計算においても、このような扱いが求められるのでしょうか?
(なおこの場合、実際は妻の年金口座に手をつけずに他の預貯金から生活費を引き出して
いたとしても、計算上は妻の年金口座から引き出したものとみなされてしまうでしょう)。

しかし、これでは専業主婦の妻の年金収入を固有財産と認めることは全く無意味になります。
そこで、②のような考え方も認められているはすだと思うのですが、いかがでしょうか?
あくまで夫の相続財産の計算上は、ということですが。特に相続税の課税を要する
(=夫に基礎控除額を超える相続財産がある)ような場合、預貯金だけで相続発生時点までの
夫婦の生活費は賄えることが多いと考えられます。そうすると、相続発生時点の
預貯金の残高が夫婦の年金収入累計額を上回ることを示せれば、夫婦の年金は
まだ全く手付かずと判断出来るため、妻の年金も全額固有財産と認められそうです。

なお、①②以外の場合として、年金収入と年金受給前預貯金の割合で生活費を
負担すること等も考えられます。しかしこのような計算は非常に煩雑なものとなりますし、
そのための情報取得を含めて納税者は多大な負担を強いられることになりそうです。
実務上、実際にそのような計算が求められることはあるのでしょうか?

以上、ご見解を頂ければ幸甚です。

↓円満相続からの回答はこちら↓

関連記事一覧

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

コメントするためには、 ログイン してください。